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池井戸潤「オレたちバブル入行組」読了

 半沢直樹のドラマは見てませんが、あれだけ盛り上がったドラマの原作の方が気になって読んでみました。

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

 

 池井戸潤の作品はこの前に「空飛ぶタイヤ」を読みましたが、その時、ある種の違和感を感じていました。なんというか、まともな人間であれば世間的に認められない事をしている自分を心の底から正当化できるほど強くなくて、悪事を働く方にもやはり葛藤があるはずですが、そういった観点がほとんど描かれていないことにとても違和感を覚えたのです。詳しくは読後感のエントリに書いてあるので読んでみてください。

 半沢直樹のドラマは見ていないのですが、繰り返されるCMや話題からみて、その原作たる「オレたちバブル入行組」も勧善懲悪ものの、ある意味一方的な書き方に終始しているのかなと、読むまでは思っていました。しかし、この作品は「空飛ぶタイヤ」で感じた違和感をうまくぬぐってくれるような作品でした。

 この本のストーリーを簡単にいってしまえば、上司の背任行為について部下に責任をかぶせようとするも、部下(半沢直樹)が抵抗し、逆に弱点を突かれて、上司失脚、部下昇進、みたいな話ですが、上司の逡巡する心の様を結構ちゃんと描いていて、人間臭さがあります。その上で、半沢直樹の痛快な立ち振る舞いがすかっとしてて、読んでて気持ちいいですね。

まだ半沢直樹に触れていない方はぜひ。内容もそれほど複雑でありませんので、一晩で読めますよ。

 

青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」読了

サイモン・シンというサイエンスライターがいます。有名な著作としては数学界の難問に挑んだ数学者を描き出した「フェルマーの最終定理」や軍用から始まり今ではインターネットや様々な分野で活用されている暗号化の歴史を紐解いた「暗号解読」というものがあります。

 

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

 

 

 

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

 

 

どちらも数学にまつわる話ではあるけれども、数学に通じていない僕のような人間でもわかりやすくその醍醐味を味わうことができるような内容にできるように書き手が心を砕いているのがわかる本です。とても面白いのでぜひ読んでみてもらいたいです。
 
そのサイモン・シンは、宇宙の始まりを探求する科学者の生き様を描いた「ビックバン・宇宙論」(新潮文庫では「宇宙創成」というタイトルに変更)という著作も発表しています。

 

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)

 

 

そのタイトルの通り、宇宙に対する認識の歴史と最新の宇宙理論をつまびらかにした内容で、理論そのものを理解するというよりもそのエッセンスと宇宙に対する理解の歴史のダイナミズムを描き出すことに重点を置いているため、こちらも僕のような宇宙論に疎い人間にとってもとても入り込める良作でした。
 
この3つの作品とても有名なのでご存知の人も多いと思いますが、その3作品の訳者が青木薫という人です。京都大学の理学博士である青木氏ですが、数多くの科学論文や評論の翻訳を手掛けています。
基本的には翻訳家としての立場を続けてきた青木氏ですが、元来「宇宙は人間のために創生された」といういわゆる「人間原理」ともいうべき前コペルニクス的な考えが近現代の科学からは排除すべきものとして取り扱われてきたという歴史を踏まえつつ、最新の宇宙理論に拠ってくるとその「人間原理」を見つめなおす必要性から、自ら筆を取ったのが「宇宙はなぜこのような宇宙なのかー人間原理と宇宙論」です。

 

宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 (講談社現代新書)

宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 (講談社現代新書)

 

 

宇宙とはどのようなものなのか、宇宙の外はどうなっているのか?とても興味深く思いをはせるテーマに、一読の価値ありです。
 

iPad mini初期化

少し前にiPad miniを初期化してみた。

正直、最近文字打つ時のリアクションが遅くてムカついてたから、初期化したら早くなるかなと思ったのだけど、思ったほど早くなってないのが実感。なんだろなー、イマイチなんだよな。まあ、短文打つぐらいならいいけど、長文になるとちとつらいかな。

あ、そうそう、これは全部フリック入力で打ってる。
まあ、自分で言うのもなんだけど、その辺のおっちゃんのパソコンのタイピングよりも早いと思う。両手で打ってるのも早い理由かな。右手でフリック入力で文字を打って、左手で、変換した文字を選択してる。

少し打ち続けてきたらなんか慣れてきたせいか、割とストレスなく打てるようになってきた。iPad miniを新しくしなくても良いかな。

ちなみに今使ってるのは初代iPad mini。
スペック的には文字打つぐらいなら問題無いはずなんだけどね。ジョブズかiPadで文字打つときは膝に乗せてフルキーボードでタイピングしてたけど、日本語入力ならフリックの方が早い。

なんでこんなにiPadでの入力にこだわってるかというと、本や映画のレビューをパソコンではなく、ベッドで寝ながら書きたいから。それにはiPad miniが丁度いいんだよね。レビューを書くのは、アウトプットが大事だから。立花隆曰く、書くことが大事だと。小飼弾も言ってた。いろんなメディアから情報を取り込むとしても、それを踏まえてアウトプットする事で自分の中で整理される。それを押し進めれば体系化される。さらに、書く際の思考を通じて、たぶん自分の中で反論を想定した二項対立の対話があって、それが認識と自分の意見や見解の素地となる気がするんだよね。
そういう対話を本当ならば色んな人と重ねることがいいんだろうけど、先ずは自分の中で重ねることで意識を深めるんじゃないかと。

しかし、やはり新しいものを欲しくなるのは人のサガで、iPhone6plusが今猛烈に欲しい。かなり高いが、今手持ちの初代iPad と初代iPad miniとiPhone4とiPhone5とnexus5をヤフオクで売ればiPhone6plusの金額ぐらいはひねり出せそうなきがする。

唯一心配なのは、ベットで使うにはiPad miniぐらいの大きさがないと使いにくいかもということ。自分の場合、ベットに横になり、枕を高くして布団をかけて胸のあたりにiPad miniを立てて操作するスタイルか一番安定していてかつ長時間弄っていることができる。iPhone6plusだと大きさが足りずに視界の下の方に画面があるため、操作しにくくまた見にくい気がする。

あと、実際に必要かどうかと問われれば、別に今のnexus5でスマホとしての機能は十分だし、初代iPad miniでやりたい事は大体できる。
むしろ、映画を観るにはやはりiPad miniぐらいは最低ないと疲れるんじゃなかろうか。

むむむ、書いてるうちになんだか決局今のままでいいんじゃないかという気がしてきた。初代iPadは親がタブレットを欲しがっていたからあげるとして、iPhone4は仕事で着信専用機として使えそうだし、iPhone5は動画撮影用に使えるなぁ。タイムラプスとかチルトシフトとか、アプリか充実してるからね。

うーん、悩ましい。



冲方丁「天地明察」読了

歴史の綴り方もさまざま。読みやすさ重視もあり。

歴史小説はさまざまあれど、読みやすさを主眼に置けば右に出るものはないのではないでしょうか。

 

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

 

 

天地明察(下) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

 

 

読みやすさというのは文言自体が平易なものかどうかというのもありますが、読み手を乗せる展開やリズムというのもその要素に入ってくると思います。この「天地明察」はなじみにくい暦を、しかも徳川時代の暦を、予備知識無くともスムーズにストーリに溶け込ませている。そもそも主題なのであたりまえと言えば当たり前ですが、肝心の暦を算出する理論の詳細をあえて書かないことで読み手にそのストレスを与えないようにしている配慮がうかがえます。

あえて書かない、というのは結構難しいことで、書き手としては正確を期することを考えればどんどん詳細に書きたくなってしまうもの。それをどこまで書いてどこまで書かないかを選別するラインというのはセンスが問われるところですが、もともとライトノベルを書いていたという著者はおそらく調べ上げた膨大な知識量から読み手を意識して書くべき知識を選別してストーリーを組んでいるのが良くわかります。

 

池井戸潤「空飛ぶタイヤ」読了

 半沢直樹は見ていなかったんですが、ここ数年すごく目につく作家だったのでアマゾンで好評価のこの作品をkindleで読みました。

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

 
空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

 

この話はもう善悪がはっきりしている展開がまさに勧善懲悪を是とする水戸黄門的なストーリー展開でして、読み終えた後はスカッとして気持ちいい。 ミステリー的な要素は無いですが、次第に明らかになっていく不正とそれを暴くために奔走する様々な人間模様とその背後にある人間ドラマがとても身につまされる話で、共感を呼びます。まったくすべて同じではないけれども、企業内部の一種独特な論理は自分にとってもうなずけるところ多数。この作家がサラリーマン受けするのも至極当然のことのように思われます。

でも、不正をする側の人間の内面があまり描かれていないのがちょっと片手落ちの気がするのは自分だけでしょうか。

この小説は三菱自動車・三菱ふそうのリコール隠しを題材として描かれているのですが、リコールを隠した人々にだってさまざまな懊悩や苦悶があったはず。誰だって悪いことやっている自分を心の底から正当化できるほど自分は欺けないと思うんですよ。でもここに出てくる不正を行う人たちからはそういった雰囲気が読み取れないというか、あまりにも「悪」過ぎる展開に一歩引いてみると違和感を感じてしまう気もします。

とはいえ、エンターテイメントとしては非常に良作。水戸黄門でいえば印籠が出てくるあたりはホントに快哉ものです。

純粋にエンターテインメントとして不正を懲らしめるような作品を欲する人はぜひ読んでみてください。掛け値なしに面白いっすよ。

横山秀夫「64(ロクヨン)」読了

 

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

 

 

 

64(ロクヨン) 下 (文春文庫)

64(ロクヨン) 下 (文春文庫)

 

 


東野圭吾の作品に重厚さをプラスさせたような、そんな横山秀夫2.0的な作品、それが読み終わった後の印象ですね。

横山秀夫の作品に初めて触れたのは職場の人から借りてクライマーズハイを、その後自分でルパンの消息購入して読みました。

クライマーズハイは読み始めから一気に読破させるような力強さがあったのを覚えています。御巣鷹山に墜落した日航機墜落事故をテーマに、地方新聞社という立場から事件に向き合った話ですが、その濃密さと厚さと熱さは読み手を引き込む魅力がありました。

その後に読んだルパンの消息は、初期の作品ということもあってか、そういったある種の「横山らしさ」は薄い気がしました。クライマーズハイにみられるよな作者の経験や綿密な取材に積み上げられた「横山らしさ」が無く、さらにストーリーの展開には無理や粗さが目立つ、そんな印象でした。

それからしばらく横山秀夫の作品からは離れていたんですよ。横山が原作の映画「半落ち」とかは見ましたが、小説で横山作品を手に取ることはなかったですね。その理由の一つがクライマーズハイの圧倒的な質感で期待した分、ルパンの消息の軽さがなんだかがっかりしてしまったところかもしれません。
それに、2005年に出した「臨場」から体調を崩してこの「64」までの7年間、本を出していなかったのも新作が目に触れずに読もうというきかっけを失わせていた理由かもしれません。


そんなわけで久しぶりの横山作品なんですが、読んだ第一印象は冒頭に記述した感じ。物語の様々な伏線が最後の最後で一気に収束されていく、そんなストーリーなのにそれまでの伏線の話自体が濃厚で読ませる読ませる。ストーリー自体かなり長めですが、話にどっぷりつかってしまえば長さはさして気にならないですね。

今度テレビと映画それぞれで映像化されるそうでして、テレビはピエール瀧、映画は佐藤浩一が主人公とのこと。佐藤浩一ははまり役だと思いますが、ピエール瀧がどの程度この主人公の役をやり切れるかで彼の今後の役者人生に大きくかかわりそうな気もします。

最近文庫化され、ハードカバーで買うよりも安く読めるようになりましたので、是非一度読んでみてほしい作品です。

  

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

 

 

ルパンの消息 (光文社文庫)

ルパンの消息 (光文社文庫)

 

 

上橋菜穂子「獣の奏者」5冊合本版

前の職場で関西から来た先輩がいたのですが、かなりの多読家でした。その先輩にどんな本を読んでて面白かった本を聞いてみた時に出てきた作品がこれ。

 

獣の奏者 全5冊合本版 講談社文庫

獣の奏者 全5冊合本版 講談社文庫

 

 ファンタジーなんすよ。その先輩は関西人でイケイケで変わり者でワールドワイドな人でしたが、ぱっと見のイメージが「キャッチャー」なので、なんか歴史ものとかスポーツものが好きなのかと勝手に思っていました。だから「獣の奏者」と言われたときにちょっと意外な感じがしたんですよね。

自分としてはファンタジー物は結構好きで中学高校あたりはちょくちょく読んでました。ライトノベル的な読みやすさもあって入りやすかったんでしょうね。

ファンタジー作品と一口に括っても、作品毎に作者が描きたい事は違う訳で、この作品は「獣」人の相容れぬ境界線をつづった話。

 ファンタジーという世界観の中で、その独特の秩序について、作者の語り口やそのストーリーの描き方が荒唐無稽の話に論理性と説得力を持たせているような気がします。

初めに前半2冊分が出版され、その後、読者の反響もあって続編という形で後半2冊と外伝が出版されたそうですので、実質4冊目までが本編というところ。ストーリーの終幕は若干粗削りなところが垣間見えましたが、ライトノベルという分類としてはちゃんと作りこまれていて、読み手を飽きさせない感じがします。

それになんといっても、この読みやすさはストーリーにテンポを持たせて、登場人物に感情輸入を促し、読み進めること自体を楽しくしてる、そんな感じがしました。

まずは初めの2冊だけでも読んでみてはいかがでしょうか?

 

 

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

 

 

 

獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)

獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)