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横山秀夫「64(ロクヨン)」読了

 

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

 

 

 

64(ロクヨン) 下 (文春文庫)

64(ロクヨン) 下 (文春文庫)

 

 


東野圭吾の作品に重厚さをプラスさせたような、そんな横山秀夫2.0的な作品、それが読み終わった後の印象ですね。

横山秀夫の作品に初めて触れたのは職場の人から借りてクライマーズハイを、その後自分でルパンの消息購入して読みました。

クライマーズハイは読み始めから一気に読破させるような力強さがあったのを覚えています。御巣鷹山に墜落した日航機墜落事故をテーマに、地方新聞社という立場から事件に向き合った話ですが、その濃密さと厚さと熱さは読み手を引き込む魅力がありました。

その後に読んだルパンの消息は、初期の作品ということもあってか、そういったある種の「横山らしさ」は薄い気がしました。クライマーズハイにみられるよな作者の経験や綿密な取材に積み上げられた「横山らしさ」が無く、さらにストーリーの展開には無理や粗さが目立つ、そんな印象でした。

それからしばらく横山秀夫の作品からは離れていたんですよ。横山が原作の映画「半落ち」とかは見ましたが、小説で横山作品を手に取ることはなかったですね。その理由の一つがクライマーズハイの圧倒的な質感で期待した分、ルパンの消息の軽さがなんだかがっかりしてしまったところかもしれません。
それに、2005年に出した「臨場」から体調を崩してこの「64」までの7年間、本を出していなかったのも新作が目に触れずに読もうというきかっけを失わせていた理由かもしれません。


そんなわけで久しぶりの横山作品なんですが、読んだ第一印象は冒頭に記述した感じ。物語の様々な伏線が最後の最後で一気に収束されていく、そんなストーリーなのにそれまでの伏線の話自体が濃厚で読ませる読ませる。ストーリー自体かなり長めですが、話にどっぷりつかってしまえば長さはさして気にならないですね。

今度テレビと映画それぞれで映像化されるそうでして、テレビはピエール瀧、映画は佐藤浩一が主人公とのこと。佐藤浩一ははまり役だと思いますが、ピエール瀧がどの程度この主人公の役をやり切れるかで彼の今後の役者人生に大きくかかわりそうな気もします。

最近文庫化され、ハードカバーで買うよりも安く読めるようになりましたので、是非一度読んでみてほしい作品です。

  

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

 

 

ルパンの消息 (光文社文庫)

ルパンの消息 (光文社文庫)