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池井戸潤「オレたちバブル入行組」読了

 半沢直樹のドラマは見てませんが、あれだけ盛り上がったドラマの原作の方が気になって読んでみました。

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

 

 池井戸潤の作品はこの前に「空飛ぶタイヤ」を読みましたが、その時、ある種の違和感を感じていました。なんというか、まともな人間であれば世間的に認められない事をしている自分を心の底から正当化できるほど強くなくて、悪事を働く方にもやはり葛藤があるはずですが、そういった観点がほとんど描かれていないことにとても違和感を覚えたのです。詳しくは読後感のエントリに書いてあるので読んでみてください。

 半沢直樹のドラマは見ていないのですが、繰り返されるCMや話題からみて、その原作たる「オレたちバブル入行組」も勧善懲悪ものの、ある意味一方的な書き方に終始しているのかなと、読むまでは思っていました。しかし、この作品は「空飛ぶタイヤ」で感じた違和感をうまくぬぐってくれるような作品でした。

 この本のストーリーを簡単にいってしまえば、上司の背任行為について部下に責任をかぶせようとするも、部下(半沢直樹)が抵抗し、逆に弱点を突かれて、上司失脚、部下昇進、みたいな話ですが、上司の逡巡する心の様を結構ちゃんと描いていて、人間臭さがあります。その上で、半沢直樹の痛快な立ち振る舞いがすかっとしてて、読んでて気持ちいいですね。

まだ半沢直樹に触れていない方はぜひ。内容もそれほど複雑でありませんので、一晩で読めますよ。