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池井戸潤「空飛ぶタイヤ」読了

 半沢直樹は見ていなかったんですが、ここ数年すごく目につく作家だったのでアマゾンで好評価のこの作品をkindleで読みました。

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

 
空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

 

この話はもう善悪がはっきりしている展開がまさに勧善懲悪を是とする水戸黄門的なストーリー展開でして、読み終えた後はスカッとして気持ちいい。 ミステリー的な要素は無いですが、次第に明らかになっていく不正とそれを暴くために奔走する様々な人間模様とその背後にある人間ドラマがとても身につまされる話で、共感を呼びます。まったくすべて同じではないけれども、企業内部の一種独特な論理は自分にとってもうなずけるところ多数。この作家がサラリーマン受けするのも至極当然のことのように思われます。

でも、不正をする側の人間の内面があまり描かれていないのがちょっと片手落ちの気がするのは自分だけでしょうか。

この小説は三菱自動車・三菱ふそうのリコール隠しを題材として描かれているのですが、リコールを隠した人々にだってさまざまな懊悩や苦悶があったはず。誰だって悪いことやっている自分を心の底から正当化できるほど自分は欺けないと思うんですよ。でもここに出てくる不正を行う人たちからはそういった雰囲気が読み取れないというか、あまりにも「悪」過ぎる展開に一歩引いてみると違和感を感じてしまう気もします。

とはいえ、エンターテイメントとしては非常に良作。水戸黄門でいえば印籠が出てくるあたりはホントに快哉ものです。

純粋にエンターテインメントとして不正を懲らしめるような作品を欲する人はぜひ読んでみてください。掛け値なしに面白いっすよ。